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先生の体験レポート

都立砂川高校 先生のレポート

Job Shadowに関わってみて -砂川高校教諭 Aさん

この度はExxon Mobil の皆様、Junior Achievement のスタッフの皆様、本校の生徒たちのために多大なご尽力を頂き、本当にありがとうございました。生徒はもとより、教師である我々が多くのことを学ばせて頂きました。

私は進路部の専任として日々生徒の進路指導にあたっておりますが、自分自身の職業経験は教職しかなく、他の職業に関する知識のなさは常に反省するところであります。昨今、進路指導=受験指導ではなくなってきており、進路とは自分の生き方を考えることに他ならない、という考え方が出てきたことは歓迎すべきだと思っております。Job shadowはこれから徐々に日本社会でも広まっていくことと思いますが、いち早くこのプログラムを体験させていただいたことを心より感謝しております。この取り組みはこれからの進路指導のひとつの流れになることと確信しております。

私たち教師の願いは生徒の一人一人がそれぞれの人生において自己実現を図っていってくれることです。選ぶ道は様々でよいのです。なにも有名大学へ進学して一流企業に勤めることだけが幸せではないと思います。どんな小さな職場でも自分の能力を最大限に発揮し、働くことが自分自身の喜びであると共に、何らかの形で社会や他の人々の役に立つのであればこんなに素晴らしいことはないと思うのです。ただ気になるのはそのかけがえのない自分自身の人生について、生徒たちがまるで他人事のように真剣に向き合おうとしない、あるいは向き合うのを先送りにしていることです。又、自分を低く見積もりすぎているように感じます。青少年の意識の比較において日本の若者はあまり将来に夢を抱いていないという結果が出ていましたが、問題はそこにあると思います。人生の早い段階で自分の将来を見限ってしまうのはなぜなのでしょうか。教育にも問題があるでしょう。私たち教育に携わるものにとって一番大きな課題と言えるかもしれません。

本校の特徴は自己主張をしないおとなしい生徒が多いということです。私が着任した時にはいまどきの高校生にこんなに純朴な生徒がいたのかと驚くほどでした。一番苦手なことは人前に出て目立つことで、授業中もとても静かにしていますが、積極的に意見を述べたりすることはまずありません。私の教科は英語ですので静かに聞いているのでは学習になりません。日本人のメンタリティを捨てなさい、英語の授業においては「発言なくして成果なし」と励ましてはいるものの、なかなか彼らもかたくなで苦労しております。確かに英語を使わざるを得ない環境にあるわけでもなく、将来においても英語を使って仕事をする自分を思い描くことが出来ない以上、英語学習の動機を持てないのは仕方ないのかもしれないのですが、英語を使えることで得られるものの大きさを知っている立場からすると残念でなりません。今回job shadowにおいて、英語が仕事の道具として必要不可欠であることを自分の目で見た生徒たちは、今後の英語学習における姿勢もおのずと変わってくるものと期待しています。

生徒たちの感想をきいて私が一番嬉しく思ったのは「職場の方々が受身ではなく能動的に仕事をしていた。」と多くの生徒が的確に述べていたことです。この点がわかっただけでも今回のjob shadowは成功だったと考えます。やらねばならない仕事をひたすらこなすのが働くということというイメージを持っていた彼らが、自分が工夫して主体的に働くことによって仕事が、会社が、ひいては社会が円滑に回っていくのだ、ということに気づいたわけです。働くことは単にお金を稼ぐ手段だけではなく自己実現の場でもあるということを知って、生徒たちの仕事に対する意識も変わったことと思います。又、「責任を持って仕事をしている姿に感動した」という感想も多かったのですが、たとえ小さな仕事でも手を抜かずにやってこそプロである、という認識を持つ労働者の存在が社会を支えていることを認識して、彼ら自身も高い倫理観を持って仕事をするようになってほしいと願っています。

最後になりましたが多忙にもかかわらず、生徒たちのために時間を割いてくださった担当者の方々、連絡調整をして頂いた広報部の方々、こころよくjob shadow にゴーサインを出してくださった管理職の方々、事前指導から当日に至るまでご指導頂いたjunior achievement の方々に御礼申し上げます。たくさんの方々のご好意とご協力を得てこそ可能であった今回の試みの成果が、いつ、どのように花開くかはまだわかりませんが、教育とは息の長い取り組みですのであせらず生徒たちを見守っていこうと思います。必ずや今回蒔かれた種は彼らの中で芽を出し、いつの日にか大きく成長することと信じています。今後移動先の学校で又 job shadowに携わることがあるやもしれません。その折にはよろしくお願いします。

Sunagawa high school Teacher Ms.B

First of all, I would like to thank all the Exxon Mobile people for giving us the opportunity of "Job Shadow" this time.

Through this "Job Shadow", my students seem to have felt the importance of responsibility and the communication with the colleagues, as well as the importance of the atmosphere to do the work, and it was very good chance for them to think about their future life.

I myself found it very interesting to see the totally different world from what I see every day and it was something which made me be aware of what I used to be when I was outside of Japan. Especially I felt the importance of "thinking globally" when I saw the Exxon Mobile people who are working without the border of Japan.

I spent most of my life abroad up to my graduation of the junior high school in Hong Kong and Brazil, and I used to recognize Japan as one of foreign countries, and dreamed working for global company. However, I considered to become a teacher to educate young people based on my global experiences. That is why I am now a teacher.

Now, it is easy to be narrow minded when I am busy working at my high school which is in a way a small world. However, I must be broad minded for not only for myself but for my students for the better education, and to do it, I would like to keep watching what's going on around the world.

「ジョブシャドウ」のプログラムを実施して -砂川高校教諭 Cさん

今回一番感じたことは、当日の「ジョブシャドウ」だけではなく事前指導で行われたプログラムも含め、この活動をもっと教育現場に普及すべきだと言うことである。

生徒の感想にもあったように、事前学習は新鮮な体験であったようだ。通常の授業は、社会(会社)と遊離した内容でり、教員の話を一方的に聞き、黒板をただ写す授業がほとんどである。課題について互いの考えやアイデアを出し、それをまとめ発表するプログラムの新鮮さ、おもしろさ、そしてそのことをエクソンモービルで実体験と結びつけられたことは、彼らにとってとても大きな体験となった。

私も教員になる前5年間、電気メーカーで設計の仕事をしていた。企画、営業、購買、研究、製造、人事、経理などのいろいろな部署や設計内のグループメンバーとの関わりを持つ中で、学校の授業で学んだこととは別の能力の必要性を強く感じた。設計に関する専門知識、それを発展させる創造性と同様に、他部門や他社とのコミュニケーション能力の必要性である。つまり、知識を学び処理する能力を情報収集能力(学校の授業で学ぶ知識全般)とすれば、コミュニケーション能力は情報編集能力であり情報表現能力になる。社会においては、情報収集能力とともに情報編集、表現能力の訓練の必要性を感じていたといえる。

そんな思いもあり、生徒には大学・専門学校への進学指導の前に、机上の学習よりまず仕事や職業に関する体験を重視した進路指導(キャリア教育)を進めることとした。夏休みには、小学校、保育園、美容サロン、動物病院、映像制作現場など仕事のイメージがしやすい10種類の職場体験(それぞれの担当者につき数日間の実習を行ったので、これも一つのジョブシャドウと考えますが)を行い、成果を上げることができた。

一方、サラリーマンに関する仕事は生徒から一番わかりにい。単なる職場見学では得られない本物の体験をさせたく、ジュニア・アチーブメントの「ジョブシャドウ」のプログラムを取り入れることにした。

参加生徒の感想からもわかるように、この試みは、仕事の意味・厳しさ・おもしろさの一端を体験させられ、予想以上の成果があり大成功であった。

だが、今回のプログラムを終え、頭をよぎるのはジョブシャドウに参加しなかった生徒達である。その半数の生徒達は、将来への夢や希望を持てず(雇用の厳しさ、フリーターの増加など)、その厳しい社会を乗り越える気力も持てず、さらに勉強する意味が見いだせないためか勉強もほとんどしていない。(家で全く勉強しない生徒が4割いる)そのような生徒達を今回のような体験的なプログラムでどこまで引っ張っていけるのか。目を覚まし、前向きに考え出す生徒もいることは予想できるが、どこまで意識を変えられるのか心配である。

雇用状況が悪いアメリカにおいて、ジョブシャドウのようなプログラムが、学力や意識が低い子ども達にどのような効果があるのか教えて頂きたい。

日本の将来は一部のエリートだけでは成り立たない。目の前にいる多くの生徒達が、夢や希望を持って仕事に就き、それぞれの能力(どの生徒も潜在能力はまだまだあるはずだが)を発揮していかなければならない。このことは、社会全体の課題であるが、教育現場において、子ども達の意識を高め、能力を引き出す方法としてこのプログラムは有効な手段であることはまちがいない。だからこそ、今後、教育現場での普及を大いに期待したいし、そうすべきであると考える。

ところで、ジョブシャドウは我々教員にも刺激的なプログラムであった。上司が社員からの意見を吸収する姿勢、良い考えやアイデアを瞬時に全世界の支社に広げるシステム(ハード・ソフト両面とも)、コピー用紙一枚にもコスト意識を持たせること、管理部門はサービス部門であるといった意識、プレゼン能力を訓練で向上させる講習、危機管理体制など教育現場でも見習い、取り入れるべき多くのヒントを頂いたことが大きな収穫であった。

最後に、多大な尽力をつくして頂いた関係の皆様には、心から感謝しております。本当にありがとうございました。